進むマレーシアのE-invoicing
マレーシア政府はデジタルインボイスの国際標準仕様であるPeppolの導入を2024年春から開始した。具合的な施策としては、まず2024年8月1日からRM1億(マレーシアリンギット、約30億円)を超える年商の企業に対して法人税申告の前提として申告に関わる請求関連情報(納品書・請求書など)のE-invoicing対応が義務付けられる。具体的には、Peppolの国際運用母体であるOpen Peppol(ブリュッセル)に加盟するマレーシア政府の管理当局(Peppol Authority)が規定した国際仕様(Malaysia PINT: MY PINT)で定めたデータ項目・送受信方式に準拠した請求関連情報のやり取りが必須となる。
E-invoicingで統一されるデジタルインボイス
マレーシアのみならずPeppolの導入を進める欧州・オセアニアの各国ではこうしたPeppolによるデジタルインボイスの普及に一体感を持たせるために「E-invoicing」という呼称に統一し「E-invoicing」あるいは「E-invoice」といえば自ずとPeppol仕様に準拠したインボイスを意味するよう名称の一元化を進めている。
マレーシアの現状と課題
マレージアでのE-invoicing義務化は今後も段階的に進み、2025年初頭からは年商RM2500万(約8億円)を超える企業に対しての準拠が義務付けられ、さらに2025年7月からは全ての法人の義務化が求められている。売上規模の大きな中企業〜大企業は既にSAP等大手ERPプロバイダーとの対策を検討し、本稿を執筆している7月24日現在では前述のMY PINTの対応が完了してい企業も多いはずだ。
しかしながら、マレーシア国内で登録されている法人数は約122万社であり、その97%以上を中小零細事業者が占める。こうした年商1億円未満の中小零細事業者に対しても来年の7月からはMY PINT対応が義務化される訳だ。システム投資や人的リソースに余裕のある大企業ならこうした制度変更に迅速な対応ができるだろう。だが、経営資源に乏しい中小零細事業者が義務化の求めに応じるにはさまざまな工夫が必要だ。
マレーシアから学べること
転じて、わが国はマレーシアに先行し2021年デジタル庁がOpen PeppolのPA(Peppol Authority)となり翌2022年10月にE-invoicing(JP PINT:Ver.1.0.0)が導入され、現在はVer.1.0.3までアップデートされている。わが国ではE-invoicingは未だ任意ではあるが、世界、とりわけAP(アジア・パシフィック)地域の趨勢を見ると、近い将来マレーシアのように義務化が求められる状況となる可能性が十分ある。マレーシアはじめ導入義務化を進める国々が抱える蓋然性を考えるとやはり税制度の最適化(透明化や効率化)に起因していることは論を待たない。
既にJP PINTの導入が完了しているわが国もE-invoicingのデファクト化さらには義務化は避けて通れない道のりとなるだろう。中小零細事業者にとってはシステムや関連業務の変更など一時的な負担となる可能性は否定できないが、中長期的な視点に立てば請求関連業務・会計関連業務、ひいては納税申告の効率化というメリットがあることを忘れてはならない。
「かんたんインボイスbondance」はそんな中小零細事業者にコストパフォーマンスの高いE-invoicingソリューションを提供する画期的なアプリケーションである。