紙の請求書について考えてみる

対面販売では領収書の方が重要だ

請求行為は商流における重要イベントの一つがであることには異論はない。モノやサービスの売買において「請求行為」は見えたり見えなかったりする。消費者が相手のいわゆるBtoC、なかんずく、対面販売において請求行為は対象となるモノやサービスの提供と買い手による対価支払いの流れの中で発生し、両者が意識的に確認するすることといえば金額くらいだ。こうした対面販売においては通常、請求書は存在しない。取引の内容とそれに伴う決済の内容が売り手と買い手の間で自明でありわざわざ紙などで可視化する必要がないからだ。もちろん取引価格が大きい場合など例外もあるが、ほとんどの対面販売では領収書の発行・受領をもって売り手と買い手の間の商流は完了する。対面販売では領収書の存在価値が大きい訳である。

非対面販売で重要度が増す請求書

非対面販売においては先払いが原則のネット通販などを除いて買い手が売り手に請求書を要求するケースが多い。特にBtoBにおいては請求書発行が契約上前提になっている業界・業態が多い。BtoBの場合は非対面であったり発注からモノやサービスの受領、あるいは決済までに時間を要したりする場合が多い。こうした背景が請求書の必要性を顕在化させている利用であろう。飲食店向けに業務用の食材を販売する卸売業者など、納品の際に都度手渡す納品書をもって請求に代えている業種・業態もあるので、広義には請求書と同様、納品書なども買い手側に対する取引内容の明示とこれに伴う支払義務の発生を確認するための重要な情報となる。

請求のデジタル化がもたらす効用

このように、売り手が買い手に対し発行する請求書は対象となる取引の内容(商品・金額・日付等)あるいは支払条件(決済期日・決済方法)を相互確認し買い手が支払を完了するために必要なモノである。モノとあえてカナで表記したのには訳がある。我々にとって請求書はこれまでずっとモノであった。つまり手に取れ、コピーしたり、郵送したりできる紙っぺらのモノであった。ビジネスの世界では現在も、請求書=モノ(紙の請求書)が幅を利かせている。モノがきちんと買い手側に届かないと代金の支払いが危ぶまれる。モノがきちんと処理されることが企業活動にとって重要なのだ。だがモノの処理は売り手にとっても買い手にとっても非常に面倒くさい。営業・販売部門の担当者ならできれば経理部門に任せたいと思うだろうし、経理部門ならどうにかして効率化したいと考えるのは至極当然である。

くどいようだが、紙の請求書であること=モノであることについてよくよく考えてみると、モノだからこそ紛失や改ざんのリスクがつきまとう。保管の負担も増えるし確認のため閲覧したり取り出したりする時には相当な手間を覚悟する必要がある。まさに担当者泣かせのしろモノ。だが、請求書がモノである必要はない。モノである請求書の核心は請求情報である。だとしたら請求情報を全てデジタル化してやり取りできればモノであることによるリスクや処理に関わる煩雑な手間を回避することができる。ということで誕生したのがデジタルインボイスである。モノからの脱却・デジタル化が経営にもたらす効果は計り知れない。まさにデジタル請求革命と呼べるものだ。デジタルインボイスはあまねく商取引の適格性・安全性の担保と業務効率化に資することから多方面から注目を浴びている。その最大の理由はやはりヒューマンエラーの防止と作業負荷の軽減による業務効率の劇的改善である。デジタル請求革命の時代が到来した。あとは我々当事者の意識の問題だけだ。

TOP